JP2017199539A 固体電解質構造体、リチウム電池、および、固体電解質構造体の製造方法

要約
【課題】電極との界面抵抗が低く、かつ、電極間の短絡を引き起こしにくい固体電解質構造体を提供する。【解決手段】固体電解質構造体は、リチウムイオン伝導性の固体電解質を含む固体電解質基板と、固体電解質基板の表面に形成された炭酸リチウム層と、を備える。固体電解質基板の表面に表出する固体電解質の粒子のサイズは10μm以下であり、炭酸リチウム層の厚さは100nm以下である。【選択図】図2
発明の詳細な説明
[0001]本明細書によって開示される技術は、固体電解質構造体に関する。
[0002]近年、パソコンや携帯電話等の電子機器の普及、電気自動車の普及、太陽光や風力等の自然エネルギーの利用拡大等に伴い、高性能な電池の需要が高まっている。なかでも、電池要素がすべて固体で構成された全固体リチウムイオン二次電池の活用が期待されている。全固体リチウムイオン二次電池は、有機溶媒にリチウム塩を溶解させた有機電解液を用いる従来型のリチウムイオン二次電池と比べて、有機電解液の漏洩や発火等のおそれがないため安全であり、また、外装を簡略化することができるため単位質量または単位体積あたりのエネルギー密度を向上させることができる。
[0003]全固体リチウムイオン二次電池の電解質層は、リチウムイオン伝導性の固体電解質を含む固体電解質構造体により形成される。リチウムイオン伝導性の固体電解質としては、例えば、少なくともLi(リチウム)とLa(ランタン)とZr(ジルコニウム)とO(酸素)とを含有するガーネット型結晶構造またはガーネット型類似結晶構造を有する固体電解質(例えば、Li<sub>7</sub>La<sub>3</sub>Zr<sub>2</sub>O<sub>12</sub>(以下、「LLZ」という))がある。
[0004]全固体リチウムイオン二次電池では、電解質層と電極とが共に固体であるため、従来型のリチウムイオン二次電池と比べて、電解質層と電極との界面での接触抵抗が高くなりやすい。また、全固体リチウムイオン二次電池では、充電時に比較的高い電流密度で直流電圧が印加されると、電解質層を通って負極側に移動したリチウムイオンが負極表面で突起状に析出し、この突起状のリチウムが電解質層を貫通して電極間が短絡するおそれがある(例えば、非特許文献1参照)。
[0005]ヤオユウ・レン(Yaoyu Ren)、外3名、「ガーネット型リチウムイオン固体電解質中のリチウム樹状突起の直接観察(Direct observation of lithium dendrites inside garnet−type lithium−ion solid electrolyte)」、電気化学通信(Electrochemistry Communications)、オランダ、エルゼビア・ベーフェー(Elsevier B.V.)、平成27年5月15日、第57号、p.27−30
[0006]このように、全固体リチウムイオン二次電池の電解質層に用いられる固体電解質構造体として、電極との界面抵抗が低く、かつ、電極間の短絡を引き起こしにくい固体電解質構造体が求められている。なお、このような課題は、全固体リチウムイオン二次電池の電解質層に用いられる固体電解質構造体に限らず、リチウムイオン伝導性を有する固体電解質を含む固体電解質構造体に共通の課題である。
[0007]本明細書では、上述した課題を解決することが可能な技術を開示する。
[0008]本明細書に開示される技術は、例えば、以下の形態として実現することが可能である。
(1)本明細書に開示される固体電解質構造体は、リチウムイオン伝導性の固体電解質を含む固体電解質基板と、前記固体電解質基板の表面に形成された炭酸リチウム層と、を備える固体電解質構造体において、前記固体電解質基板の表面に表出する前記固体電解質の粒子のサイズは10μm以下であり、前記炭酸リチウム層の厚さは100nm以下である。本固体電解質構造体を電池の固体電解質層に使用した場合に、固体電解質基板の表面に固体電解質の粒子が表出しており、表出する固体電解質の粒子のサイズが10μm以下と比較的小さいため、固体電解質基板の比表面積が比較的大きくなる。これにより、固体電解質層と電極(負極)との間における、接触面内の電流の偏りが小さくなって、電極(負極)におけるリチウムの析出量の偏りが小さくなる。その結果、局所的なリチウムの析出による短絡の発生を抑制することができる。また、固体電解質基板の比表面積が比較的大きくなるために、固体電解質層と電極(負極と正極との少なくとも一方)との間の界面抵抗を低減することができる。また、リチウムイオン伝導性が極端に低い(固体電解質層の10万分の1以下程度)炭酸リチウム層の厚さが100nm以下と比較的薄いため、そもそも固体電解質層と電極(負極)との間の抵抗が小さくなる。また、固体電解質層と電極(負極)との間の抵抗のばらつきが小さくなる。これにより、固体電解質層と電極(負極)との間の電流の偏りが小さくなって(つまり、局所的な電流の集中が抑制され)、電極(負極)におけるリチウムの析出量の偏りが小さくなる。その結果、局所的なリチウムの析出による短絡の発生を抑制することができる。また、リチウムイオン伝導性が極端に低い炭酸リチウム層の厚さが比較的薄いために、固体電解質層と電極(負極と正極との少なくとも一方)との間の界面抵抗を低減することができる。
(2)上記固体電解質構造体において、前記固体電解質は、少なくともLiとLaとZrとOとを含有するガーネット型結晶構造またはガーネット型類似結晶構造を有する構成としてもよい。本固体電解質構造体によれば、リチウムイオン伝導性を十分に備えることができる。また、本固体電解質構造体によれば、局所的なリチウムの析出による短絡の発生を効果的に抑制することができると共に、固体電解質層と電極との間の界面抵抗を効果的に低減することができる。
(3)上記固体電解質構造体において、前記固体電解質は、MgとA(Aは、Ca、Sr、Baから構成される群より選択される少なくとも1つの元素)との少なくとも一方を含有する構成としてもよい。本固体電解質構造体によれば、さらに向上したリチウムイオン伝導性を備えることができる。また、本固体電解質構造体によれば、局所的なリチウムの析出による短絡の発生を効果的に抑制することができると共に、固体電解質層と電極との間の界面抵抗を効果的に低減することができる。
(4)本明細書に開示されるリチウム電池は、正極と、負極と、前記正極と前記負極との間に配置される固体電解質層と、を備えるリチウム電池において、前記固体電解質層は、上記固体電解質構造体により形成される。本リチウム電池によれば、固体電解質層と電極との界面抵抗を低くすることができ、かつ、電極間の短絡の発生を抑制することができる。
(5)上記リチウム電池において、池において、前記負極は、電極活物質であるLi金属とLi合金との少なくとも一方を含有する構成としてもよい。本リチウム電池によれば、固体電解質層と電極との界面抵抗を低くすることができ、かつ、電極間の短絡の発生を抑制することができる。
(6)上記リチウム電池において、前記正極と前記負極との少なくとも一方は、電極活物質と、硫化物系固体電解質と、を含有する構成としてもよい。本リチウム電池によれば、固体電解質層と電極との界面抵抗を低くすることができ、かつ、電極間の短絡の発生を抑制することができる。
(7)本明細書に開示される製造方法は、リチウムイオン伝導性の固体電解質を含む固体電解質基板と、前記固体電解質基板の表面に形成された炭酸リチウム層と、を備え、前記固体電解質基板の表面に表出する前記固体電解質の粒子のサイズは10μm以下である固体電解質構造体の製造方法において、固体電解質構造体を準備する工程と、前記固体電解質構造体を、pHが1以上、14以下の洗浄液中に浸漬する洗浄工程と、を備える。本製造方法によれば、固体電解質基板の表面に形成された炭酸リチウム層の厚さを100nm以下とすることができ、局所的なリチウムの析出による短絡の発生を抑制することができると共に、固体電解質層と電極との間の界面抵抗を低減することができる。
(8)上記製造方法において、前記洗浄液のpHは、7以上、13以下であることを特徴とする構成としてもよい。本製造方法によれば、固体電解質層を構成する成分が洗浄液中に溶出することを抑制しつつ、固体電解質基板の表面に形成された炭酸リチウム層の厚さを100nm以下とすることができる。
[0009]なお、本明細書に開示される技術は、種々の形態で実現することが可能であり、例えば、固体電解質を含む固体電解質構造体、固体電解質構造体により形成される電解質層を備えるリチウム電池または全固体リチウム電池、それらの製造方法または洗浄方法等の形態で実現することが可能である。
[0010]本実施形態における全固体リチウムイオン二次電池102の断面構成を概略的に示す説明図である。本実施形態の電解質層112の断面構成を概略的に示す説明図である。第1の比較例の電解質層112aの断面構成を概略的に示す説明図である。図4は、第2の比較例の電解質層112bの断面構成を概略的に示す説明図である。本実施形態の全固体電池102の製造方法を示すフローチャートである。洗浄液の評価結果を示す説明図である。洗浄未実施の試料の断面をFE−SEMにより観察した写真である。蒸留水による洗浄実施試料の断面をFE−SEMにより観察した写真である。0.1M硝酸による洗浄実施試料の断面をFE−SEMにより観察した写真である。第1の評価用サンプルS1を対象とした界面抵抗についての評価結果を示す説明図である。第2の評価用サンプルS2を対象とした界面抵抗についての評価結果を示す説明図である。第2の評価用サンプルS2を対象とした短絡特性についての評価結果を示す説明図である。第3の性能評価の概要と評価結果を示す説明図である。固体電解質基板203の表面に表出する固体電解質202の粒子のサイズPSの平均値(表出粒子平均サイズAS)の算出方法を示す説明図である。
[0011]A.実施形態:A−1.全固体電池102の構成:図1は、本実施形態における全固体リチウムイオン二次電池(以下、「全固体電池」という)102の断面構成を概略的に示す説明図である。図1には、方向を特定するための互いに直交するXYZ軸が示されている。本明細書では、便宜的に、Z軸正方向を上方向といい、Z軸負方向を下方向という。図2以降についても同様である。
[0012]全固体電池102は、電池本体110と、電池本体110の一方側(上側)に配置された第1の集電部材154と、電池本体110の他方側に(下側)に配置された第2の集電部材156とを備える。第1の集電部材154および第2の集電部材156は、導電性を有する略平板形状部材であり、例えば、ステンレス鋼、Ni(ニッケル)、Ti(チタン)、Fe(鉄)、Cu(銅)、Al(アルミニウム)、これらの合金から選択される導電性金属材料、炭素材料等によって形成されている。以下の説明では、第1の集電部材154と第2の集電部材156とを、まとめて集電部材ともいう。
[0013]電池本体110は、電池要素がすべて固体で構成された二次電池であり、電解質層112と、電解質層112の一方側(上側)に配置された正極114と、電解質層112の他方側(下側)に配置された負極116とを備える。以下の説明では、正極114と負極116とを、まとめて電極ともいう。
[0014]電解質層112は、略平板形状であり、リチウムイオン伝導性の固体電解質202を含んでいる。電解質層112に含まれる固体電解質202としては、例えば酸化物系固体電解質が用いられる。より具体的には、固体電解質202として、例えば以下の(1)および(2)に示す酸化物系固体電解質が用いられる。(1)少なくともLi(リチウム)とLa(ランタン)とZr(ジルコニウム)とO(酸素)とを含有するガーネット型結晶構造またはガーネット型類似結晶構造を有する固体電解質(例えば、Li<sub>7</sub>La<sub>3</sub>Zr<sub>2</sub>O<sub>12</sub>(LLZ))(2)LLZに対してMg(マグネシウム)とA(Aは、Ca(カルシウム)、Sr(ストロンチウム)、Ba(バリウム)から構成される群より選択される少なくとも1つの元素)との少なくとも一方の元素置換を行った固体電解質(例えば、LLZに対してMgおよびSrの元素置換を行ったもの(以下、「LLZ―MgSr」という))
[0015]正極114は、略平板形状であり、正極活物質214と、リチウムイオン伝導助剤としての固体電解質204とを含んでいる。正極活物質214としては、例えば、S(硫黄)、TiS<sub>2</sub>、LiCoO<sub>2</sub>、LiMn<sub>2</sub>O<sub>4</sub>、LiFePO<sub>4</sub>等が用いられる。また、正極114に含まれる固体電解質204としては、例えば、硫化物系固体電解質(例えば、Li<sub>2</sub>S−P<sub>2</sub>S<sub>5</sub>系、LiI−Li<sub>2</sub>S−P<sub>2</sub>S<sub>5</sub>系、LiI−Li<sub>2</sub>S−B<sub>2</sub>S<sub>3</sub>系、若しくはLiI−Li<sub>2</sub>S−SiS<sub>2</sub>系の固体電解質、チオリシコン、およびLi<sub>10</sub>GeP<sub>2</sub>S<sub>12</sub>等)が用いられる。正極114は、さらに電子伝導助剤(例えば、導電性カーボン、Ni(ニッケル)、Pt(白金)、Ag(銀))を含んでいてもよい。
[0016]負極116は、略平板形状であり、負極活物質216と、リチウムイオン伝導助剤としての固体電解質206とを含んでいる。負極活物質216としては、例えば、Li金属、Li−Al合金、Li<sub>4</sub>Ti<sub>5</sub>O<sub>12</sub>、カーボン、Si(ケイ素)、SiO等が用いられる。また、負極116に含まれる固体電解質206としては、例えば、硫化物系固体電解質(例えば、Li<sub>2</sub>S−P<sub>2</sub>S<sub>5</sub>系、LiI−Li<sub>2</sub>S−P<sub>2</sub>S<sub>5</sub>系、LiI−Li<sub>2</sub>S−B<sub>2</sub>S<sub>3</sub>系、若しくはLiI−Li<sub>2</sub>S−SiS<sub>2</sub>系の固体電解質、チオリシコン、およびLi<sub>10</sub>GeP<sub>2</sub>S<sub>12</sub>等)が用いられる。負極116は、さらに電子伝導助剤(例えば、導電性カーボン、Ni、Pt、Ag)を含んでいてもよい。
[0017]A−2.電解質層112の詳細構成:図2は、本実施形態の電解質層112の断面構成を概略的に示す説明図である。図2には、図1のX1部(すなわち、負極116との境界付近)における電解質層112の断面構成が拡大して示されている。図2に示すように、電解質層112は、上述した固体電解質202の粒子を含む固体電解質基板203と、固体電解質基板203の表面に形成された炭酸リチウム層222とを備えている。炭酸リチウム層222は、固体電解質202に含まれるリチウムと大気中の二酸化炭素とが反応することによって生成される物質の層である。炭酸リチウム層222のリチウムイオン伝導性は、極端に低い(電解質層112の10万分の1以下程度である)。固体電解質基板203と炭酸リチウム層222とを備える電解質層112は、特許請求の範囲における固体電解質構造体に相当する。
[0018]ここで、本実施形態の電解質層112では、固体電解質基板203の表面に固体電解質202の粒子が表出しており、その表出する固体電解質202の粒子のサイズPSの平均値(以下、「表出粒子平均サイズAS」という)は10μm以下と比較的小さくなっている。さらに、本実施形態の電解質層112では、固体電解質基板203の表面に形成された炭酸リチウム層222の厚さLTは、100nm以下と比較的薄くなっている。そのため、本実施形態の電解質層112を用いた全固体電池102では、以下に説明するように、電解質層112と電極114,116との間の界面抵抗を低くすることができると共に、電極114,116間の短絡の発生を抑制することができる。なお、固体電解質基板203の表面に表出する固体電解質202の粒子のサイズPSや、固体電解質基板203の表出粒子平均サイズASの算出方法については後述する。
[0019]図3は、第1の比較例の電解質層112aの断面構成を概略的に示す説明図であり、図4は、第2の比較例の電解質層112bの断面構成を概略的に示す説明図である。図3に示す第1の比較例の電解質層112aでは、固体電解質基板203の表面が研磨されて平坦形状となっており、固体電解質基板203の表面に固体電解質202の粒子が表出していない。なお、図3に示す第1の比較例の電解質層112aにおける炭酸リチウム層222の厚さLTは、図2に示す実施形態の電解質層112における炭酸リチウム層222の厚さLTと略同一である。
[0020]図4に示す第2の比較例の電解質層112bでは、表出粒子平均サイズAS(固体電解質基板203の表面に表出する固体電解質202の各粒子のサイズPSの平均値)が、図2に示す実施形態の電解質層112における表出粒子平均サイズASより大きい。また、図4に示す第2の比較例の電解質層112bでは、炭酸リチウム層222の厚さLTが、図2に示す実施形態の電解質層112における炭酸リチウム層222の厚さLTより厚い。
[0021]図3に示す第1の比較例の電解質層112aでは、固体電解質基板203の表面に固体電解質202の粒子が表出していないため、固体電解質基板203の比表面積が極めて小さくなる。その結果、電解質層112aと負極116(または正極114)との接触面積が極めて小さくなり、電解質層112aと負極116(または正極114)との界面抵抗が極めて大きくなる。また、第1の比較例の電解質層112aでは、全固体電池102の充電時において、電解質層112aと負極116との少ない接触箇所に電流が集中してしまう。その結果、当該接触箇所において負極116表面にリチウムが集中的に析出し、析出したリチウムが突起状となって電解質層112aを貫通して正極114に至り、電極114,116間の短絡を引き起こすおそれがある。
[0022]また、図4に示す第2の比較例の電解質層112bでは、表出粒子平均サイズAS(固体電解質基板203の表面に表出する固体電解質202の各粒子のサイズPSの平均値)が比較的大きいため、固体電解質基板203の比表面積が比較的小さくなる。その結果、電解質層112bと負極116(または正極114)との接触面積が比較的小さくなり、電解質層112bと負極116(または正極114)との界面抵抗が比較的大きくなる。また、第2の比較例の電解質層112bでは、炭酸リチウム層222の厚さLTが比較的厚いため、この点からも、電解質層112bと負極116(または正極114)との界面抵抗が比較的大きくなる。また、第2の比較例の電解質層112bでは、全固体電池102の充電時において、電解質層112bと負極116との少ない接触箇所に電流が集中してしまう。その結果、当該接触箇所において負極116表面にリチウムが集中的に析出し、析出したリチウムが突起状となって電解質層112bを貫通して正極114に至り、電極114,116間の短絡を引き起こすおそれがある。
[0023]さらに、第2の比較例の電解質層112bでは、表出粒子平均サイズASが比較的大きいため、電解質層112bと負極116(または正極114)とが対向する方向(上下方向)における炭酸リチウム層222の電極側表面から固体電解質基板203の表面からまでの距離(以下、「炭酸リチウム層222の被覆長LC」という)のばらつきが比較的大きくなる。すなわち、固体電解質202の粒子間の境界付近の位置における炭酸リチウム層222の被覆長LC2と、固体電解質202の粒子の中心付近の位置における炭酸リチウム層222の被覆長LC1との差(LC2−LC1)は、図4に示す第2の比較例の電解質層112bの方が、図2に示す実施形態の電解質層112より大きくなる。炭酸リチウム層222の被覆長LCのばらつきが比較的大きいと、全固体電池102の充電時における電流が炭酸リチウム層222の被覆長LCの短い箇所(すなわち、電気抵抗の低い箇所)に集中し、当該箇所において負極116表面にリチウムが集中的に析出し、析出したリチウムが突起状となって電解質層112bを貫通して正極114に至り、電極114,116間の短絡を引き起こすおそれがある。
[0024]これに対し、本実施形態の電解質層112では、固体電解質基板203の表面に固体電解質202の粒子が表出しており、表出粒子平均サイズAS(表出する固体電解質202の粒子のサイズPSの平均値)が10μm以下と比較的小さくなっている。そのため、本実施形態の電解質層112では、固体電解質基板203の比表面積が比較的大きくなり、その結果、電解質層112と電極114,116との接触面積が比較的大きくなる。よって、電解質層112と電極114,116との界面抵抗が比較的小さくすることができる。また、本実施形態の電解質層112では、固体電解質基板203の表面に形成された炭酸リチウム層222の厚さLTが100nm以下と比較的薄くなっているため、この点からも、電解質層112と電極114,116との界面抵抗が比較的小さくなる。
[0025]また、本実施形態の電解質層112では、固体電解質基板203の比表面積が比較的大きく、電解質層112と電極114,116との接触面積が比較的大きくなり、かつ、炭酸リチウム層222の被覆長LCのばらつきが比較的小さくなるため、全固体電池102の充電時において電解質層112と電極114,116との界面の面内における電流の偏りが抑制される。その結果、負極116表面におけるリチウム析出量の偏りが抑制され、電極114,116間の短絡の発生が抑制される。
[0026]なお、固体電解質基板203の表面に固体電解質202の粒子が表出しているとは、換言すれば、Z方向に平行な固体電解質基板203の断面において、固体電解質基板203の表面の長さが、固体電解質基板203の幅(Z方向に直交する方向の長さ)より長いことである。例えば、表出粒子平均サイズASが4.5μmの試料を用いて実測したところ、固体電解質基板203の幅が115.9μmであったのに対し、固体電解質基板203の表面の長さは124.4μmと、約1.07倍であった。なお、固体電解質基板203の表面の長さは、粒子の凹凸の曲線を短い直線で近似し、直線の長さの合計することにより計測することができる。また、表出粒子平均サイズASより深い穴や表面に付着したゴミについては、計測の対象外とする。
[0027]また、固体電解質基板203の表面に形成された炭酸リチウム層222の厚さLTが100nm以下と比較的薄ければ、炭酸リチウム層222の存在による界面抵抗の上昇はごくわずかである。また、固体電解質基板203の表面に、ごく薄い炭酸リチウム層222が存在することにより、固体電解質基板203の表面の穴や傷が炭酸リチウム層222によって埋められ、これにより電極114,116間の短絡の発生がよりよく抑制される。この点から、炭酸リチウム層222の厚さは、例えば5nm以上であることが好ましい。
[0028]また、電解質層112に含まれる固体電解質202は、少なくともLiとLaとZrとOとを含有するガーネット型結晶構造またはガーネット型類似結晶構造を有することが好ましい。このようにすれば、リチウムイオン伝導性が十分に確保できる。また、局所的なリチウムの析出による電極114,116間の短絡の発生を効果的に抑制することができると共に、電解質層112と電極114,116との間の界面抵抗を効果的に低減することができる。これに加え、電解質層112に含まれる固体電解質202は、MgとA(Aは、Ca、Sr、Baから構成される群より選択される少なくとも1つの元素)との少なくとも一方を含有することが好ましい。このようにすれば、さらに向上したリチウムイオン伝導性が確保できる。また、局所的なリチウムの析出による電極114,116間の短絡の発生をさらに効果的に抑制することができると共に、電解質層112と電極114,116との間の界面抵抗をさらに効果的に低減することができる。
[0029]また、本実施形態の電解質層112は、正極と、負極と、を備えた全固体電池への適用に好適である。本全固体電池によれば、電解質層112と電極との界面抵抗を低くすることができ、かつ、電極間の短絡の発生を抑制することができる。
[0030]また、本実施形態の電解質層112は、電極活物質であるLi金属とLi合金との少なくとも一方を含有する負極116を備える全固体電池102への適用に好適である。Li金属とLi合金との少なくとも一方を含有する負極116を備える全固体電池102では、局所的なリチウムの析出による電極114,116間の短絡の発生が問題となりやすいが、本実施形態の電解質層112を適用すれば、電極114,116間の短絡の発生を抑制することができる。
[0031]また、本実施形態の電解質層112は、正極114と負極116との少なくとも一方が硫化物系固体電解質を含有する全固体電池102への適用に好適である。このような全固体電池102への適用により、電解質層112と電極114,116との間の界面抵抗を飛躍的に低減することができる。
[0032]A−3.全固体電池102の製造方法:図5は、本実施形態の全固体電池102の製造方法を示すフローチャートである。はじめに、電解質層112用の固体電解質202の原料粉末を粉砕混合することにより、固体電解質202の原料粒子を調製する(S110)。固体電解質202の原料粉末の配合は、作製しようとする固体電解質202の組成に応じて適宜設定される。原料粉末の配合の具体例については、後述の「A−4.性能評価」の項に記載する。
[0033]次に、調製された固体電解質202の原料粒子を焼成することにより、電解質層112を作製する(S120)。すなわち、固体電解質202の原料粒子を焼成することにより、焼結体である固体電解質基板203が形成され、さらに、固体電解質基板203の表面付近の固体電解質202に含まれるリチウムと大気中の二酸化炭素とが反応することによって、固体電解質基板203の表面に炭酸リチウム層222が生成され、その結果、固体電解質基板203と炭酸リチウム層222とを備える構成の電解質層112(図2参照)が形成される。なお、このときの焼成温度および焼成時間を調整することにより、表出粒子平均サイズASを制御することができる。焼成温度および焼成時間の具体例については、後述の「A−4.性能評価」の項に記載する。
[0034]次に、電解質層112を洗浄液中に含浸することにより、電解質層112の表面を洗浄する(S130)。この洗浄工程により、電解質層112を構成する固体電解質基板203の表面に形成された炭酸リチウム層222の一部が除去され、炭酸リチウム層222の厚さLTが薄くなる。洗浄液としては、pHが1以上、14以下の液(例えば、所定の濃度の硝酸、蒸留水、電解質層112を蒸留水に含浸した後に電解質層112を取り出した後の液体(以下、「蒸留水洗浄後液」という)等)が用いられる。洗浄工程における洗浄液のpHや含浸時間を調整することにより、炭酸リチウム層222の厚さLTを制御することができる。洗浄液や含浸時間の具体例については、後述の「A−4.性能評価」の項に記載する。なお、洗浄工程によって表出粒子平均サイズASが有意に変化することはない。
[0035]次に、洗浄後の電解質層112を乾燥させる(S140)。電解質層112の乾燥は、例えば、拭き取り、自然乾燥、大気中での乾燥、不活性ガス中での乾燥、真空乾燥により行われる。
[0036]次に、乾燥後の電解質層112に、電極114,116および集電部材154,156を接合する(S150)。これらの部材の接合は、例えば、これらの部材を積層し、積層方向に所定の荷重をかけた状態で熱処理を行うことによって実現される。以上の工程により、図1に示す構成の全固体電池102が製造される。
[0037]A−4.性能評価:電解質層112の試料を複数作製し、性能評価を行った。以下、性能評価について説明する。
[0038]A−4−1.電解質層112の試料の作製:(LLZ−MgSr焼結体の作製)組成:Li<sub>6.95</sub>Mg<sub>0.15</sub>La<sub>2.75</sub>Sr<sub>0.25</sub>Zr<sub>2.0</sub>O<sub>12</sub>となるように、Li<sub>2</sub>CO<sub>3</sub>、MgO、La(OH)<sub>3</sub>、SrCO<sub>3</sub>、ZrO<sub>2</sub>を秤量した。その際、焼成時のLiの揮発を考慮し、元素換算で15mol%程度過剰になるように、Li<sub>2</sub>CO<sub>3</sub>をさらに加えた。この原料をジルコニアボールとともにナイロンポットに投入し、有機溶剤中で15時間ボールミルで粉砕混合を行った。混合後、スラリーを乾燥させ、1100℃、10時間、MgO板上にて仮焼を行った。なお、仮焼後の粉末の組成は上記組成から多少ずれる場合がある。仮焼後の粉末にバインダーを加え、有機溶剤中で15時間ボールミルで粉砕混合を行った。混合後、スラリーを乾燥させ、LLZ−MgSr粉末を得た。得られたLLZ−MgSr粉末を、直径14mmの金型で、厚さが1.5mm程度になるようにプレス成型し、冷間静水等方圧プレス機(CIP)を用いて1.5(t/cm<sup>2</sup>)の静水圧を印加して成型体を得た。得られた成型体を、不活性ガス雰囲気で所定の焼成条件(焼成温度および焼成時間)で焼成することによりLLZ−MgSr焼結体を得た。なお、このLLZ−MgSr焼結体は、固体電解質202の粒子により構成された固体電解質基板203に相当する。また、LLZ−MgSr焼結体(固体電解質基板203)の表面に、固体電解質202に含まれるリチウムと大気中の二酸化炭素とが反応することによって炭酸リチウム層222が生成される。LLZ−MgSr焼結体(固体電解質基板203)と炭酸リチウム層222とで構成される構造体は、電解質層112に相当する(図2参照)。
[0039]なお、作製されたLLZ−MgSr焼結体を粉砕処理して主結晶相をXRDで同定したところ、LLZ−MgSr焼結体の結晶構造はイオン伝導率の高いLLZ立方晶であった。また、LLZ−MgSr焼結体の両面を研磨し、金蒸着を施すことによって測定用試料とし、得られた測定用試料を対象として交流インピーダンス法(ソーラトロン社製 1470Eおよび1255Bを用いる)によりリチウムイオン伝導率を測定したところ、1.4×10<sup>−3</sup>(S/cm)であった。
[0040]表出粒子平均サイズAS(表面に表出する固体電解質202の粒子のサイズPSの平均値)が互いに異なる複数の試料を得るため、上記焼成条件を種々異ならせて複数のLLZ−MgSr焼結体を作製した。焼成条件と、得られた試料における表出粒子平均サイズASとの関係は、以下の通りであった。(1)焼成条件1:1050℃、3時間 − 表出粒子平均サイズAS:約4.5μm(2)焼成条件2:1100℃、4時間 − 表出粒子平均サイズAS:約10μm(3)焼成条件3:1200℃、10時間 − 表出粒子平均サイズAS:約200μm
[0041]また、表面に固体電解質202の粒子が表出していない試料を得るため、上記焼成条件1により得られたLLZ−MgSr焼結体の表面を大気中で#2000番の研磨紙で研磨した試料、および、アルゴン雰囲気のグローブボックス中で同様に研磨した試料を作製した。
(LLZ−MgSr焼結体の洗浄)作製されたLLZ−MgSr焼結体(固体電解質基板203)の表面に生成された炭酸リチウム層222の一部を除去して222の厚さLTを調整するため、各LLZ−MgSr焼結体の洗浄を行った。ここで、LLZ−MgSr焼結体の洗浄のために好適な洗浄液を調べるため、各種洗浄液の評価を行った。図6は、洗浄液の評価結果を示す説明図である。図6には、使用した洗浄液の種類と、それらのpH値と、洗浄後の洗浄液のICP元素分析結果(Li、La、Zrのそれぞれの含有量を含有量が少ない順にA〜Gのランクを付した評価結果)と、洗浄後のLLZ−MgSr焼結体の形状変化の有無と、判定結果とが示されている。
[0042]図6に示すように、洗浄液としては、濃度1〜3M(モーラー:mol/L)の硝酸、濃度0.8Mの硝酸、濃度0.1Mの硝酸、蒸留水、および、LLZ−MgSr焼結体を蒸留水に含浸した後にLLZ−MgSr焼結体を取り出した後の液体(蒸留水洗浄後液)を用いた。濃度1〜3Mの硝酸および濃度0.8Mの硝酸のpHは1未満であり、0.1Mの硝酸のpHは約1であり、蒸留水のpHは約7であり、蒸留水洗浄後液のpHは約13であった。各洗浄液について、約30mlの水溶液中に約0.5gのLLZ−MgSr焼結体のペレット2枚を5分間浸漬させ、その後、液中から取り出したLLZ−MgSr焼結体の表面に蒸留水を流して表面液体を取り除き、水分を拭き取り、1時間程度真空乾燥を行った。
[0043]洗浄後の各LLZ−MgSr焼結体を目視により観察したところ、洗浄液として濃度1〜3Mの硝酸を用いたケースでは、LLZ−MgSr焼結体に形状変化が見られ、焼結体の多くの部分が洗浄液中に溶解したものと考えられる。そのため、濃度1〜3Mの硝酸は、不合格(×)と判定された。また、洗浄液として濃度0.8Mの硝酸を用いたケースでは、目視上はLLZ−MgSr焼結体の形状が維持されているが、洗浄後の洗浄液のICP元素分析を行ったところ、LLZ−MgSr焼結体の主成分であるLi、La、Zrが洗浄液中に多量に(2ppm以上)溶出していることが確認された。そのため、濃度0.8Mの硝酸は、やや不適切(△)と判定された。これらの結果から、洗浄液のpHは、1以上であることが好ましいと言える。
[0044]また、洗浄液として濃度0.1Mの硝酸を用いたケースでは、LLZ−MgSr焼結体の形状も維持され、洗浄液中へのLLZ−MgSr焼結体の主成分の溶出も比較的少なかった(Liについては1〜2ppm、Laについては0.1〜1ppm、Zrについては0.1ppm未満)。そのため、濃度0.1Mの硝酸は、合格(〇)と判定された。また、洗浄液として蒸留水(pH=7)や蒸留水洗浄後液(pH=13)を用いたケースでは、洗浄液中へのLLZ−MgSr焼結体の主成分の溶出が、より少なかった(Liについては1〜2ppm、LaおよびZrについては検出限界以下)。そのため、蒸留水や蒸留水洗浄後液は、合格(〇)と判定された。これらの結果から、洗浄液のpHは、7以上、13以下であることがより好ましいと言える。なお、洗浄液として蒸留水を用いたケースにおける洗浄後の洗浄液のICP元素分析では、ZrおよびLaは検出限界以下であり、Liの溶出のみが検出された。このことから、蒸留水洗浄後液のpHが蒸留水のpHより高くなるのは、主としてLiの溶出が要因であると考えられる。
(表面観察と分析)作製した各LLZ−MgSr焼結体の試料について、表面観察および分析を行った。具体的には、(1)洗浄未実施の試料、(2)蒸留水による洗浄実施試料、(3)0.1M硝酸による洗浄実施試料、(4)大気中で表面研磨を行った試料のそれぞれについて、XRD測定により表面に存在する結晶相を同定した所、すべての試料においてLLZの立方晶のピークと炭酸リチウムのピークが観測された。
[0045]また、上述した焼成条件1による焼成により作製されたLLZ−MgSr焼結体の試料(表出粒子平均サイズASが4.5μmのもの)の内、(1)洗浄未実施の試料、(2)蒸留水による洗浄実施試料、(3)0.1M硝酸による洗浄実施試料のそれぞれについて、断面をFE−SEMにより観察した写真をそれぞれ図7から図9に示す。洗浄未実施の試料(図7)では、LLZ−MgSr焼結体(固体電解質基板203)の表面に不均質な物質(炭酸リチウム層222)が多量に存在することが観察された。炭酸リチウム層222の厚さLTを計測したところ、200nm〜500nm程度と厚さが比較的大きく、かつ、そのばらつきも比較的大きかった。1000倍視野像から炭酸リチウム層222の厚さLTの平均を求めると、約400nmであった。
[0046]一方、蒸留水による洗浄実施試料(図8)や0.1M硝酸による洗浄実施試料(図9)では、程度は異なるものの不均質な物質(炭酸リチウム層222)が除去されていることが確認された。炭酸リチウム層222の厚さLTを計測したところ、蒸留水による洗浄実施試料では、約100nmであった。また、0.1M硝酸による洗浄実施試料では、計測不能であったが、表面を厚さ方向に30nm程度の範囲までエッチング処理を数nm間隔で繰り返し行い元素分析(XPSでの分析)を行ったところ、Li、C、Oの比率が、内部のLLZとは異なる比率で存在する範囲が約15〜20nm以下の領域で存在したため、この試料でも20nm以下の炭酸リチウム層222が存在することが確認された。
[0047]なお、図示していないが、蒸留水洗浄後液による洗浄実施試料については、蒸留水による洗浄実施試料と同様に、炭酸リチウム層222の厚さLTは約100nmであった。また、大気中で研磨した試料については、炭酸リチウム層222の厚さLTは約200nmであり、グローブボックス中で研磨した試料については、0.1M硝酸による洗浄実施試料と同様に、炭酸リチウム層222の厚さLTは20nm以下であった。
[0048]A−4−2.第1の性能評価結果:第1の性能評価として、電解質層112(上述したLLZ−MgSr焼結体と炭酸リチウム層222とで構成される構造体)と、電極114,116と、集電部材154,156とを接合して全固体電池102の第1の評価用サンプルS1を作製し、界面抵抗についての評価を行った。なお、界面抵抗の評価用であるため、電極114,116としては、硫化物系固体電解質を含むが、電極活物質を含まないものを用いた。
(第1の評価用サンプルS1の作製)すべての作業は、アルゴン雰囲気のグローブボックス中で実施した。硫化物系固体電解質材料として、Li<sub>2</sub>S・P<sub>2</sub>S<sub>5</sub>(モル比80:20)ガラスを使用した。硫化物系固体電解質粉末とSUS(ステンレス)集電体粉末とを順番に金型に入れ、360MPaで加圧成形し、直径10mmで、厚さ(硫化物系固体電解質部分の厚さ)が0.3mmの略円柱状の圧粉体を2枚作製した。得られた硫化物系固体電解質圧粉体と、上述した電解質層112(LLZ−MgSr焼結体と炭酸リチウム層222とで構成される構造体)とを、SUS集電体/硫化物系固体電解質圧粉体/電解質層112/硫化物系固体電解質圧粉体/SUS集電体の順に積層した。この積層体を積層方向に約50MPaの荷重をかけて固定し、190℃〜220℃で3時間、加熱処理を行った。その後、室温まで冷却し、第1の評価用サンプルS1を得た。
(界面抵抗についての評価)各第1の評価用サンプルS1について、交流インピーダンス法により界面抵抗を測定した。図10は、第1の評価用サンプルS1を対象とした界面抵抗についての評価結果を示す説明図である。図10には、表出粒子平均サイズAS(ただし、研磨体については表面に粒子が表出していない)の各範囲(4.5μm以下、4.5μmより大きく10μm以下、10μmより大きく200μm以下)と、炭酸リチウム層222の厚さLTの各範囲(20nm以下、20nmより大きく100nm以下、100nmより大きく200nm以下、200nmより大きく400nm以下)との組合せにより特定される各第1の評価用サンプルS1について、界面抵抗値に基づく評価結果(界面抵抗が低い順にA〜Dのランクを付した評価結果)が記載されている。なお、研磨体の内、炭酸リチウム層222の厚さLTが「〜20nm」のものはアルゴン雰囲気のグローブボックス中で研磨したものであり、炭酸リチウム層222の厚さLTが「100〜200nm」のものは大気中で研磨したものである(図11および図12についても同様)。
[0049]図10に示すように、表出粒子平均サイズASが10μm以下であり、かつ、炭酸リチウム層222の厚さLTが約100nm以下のサンプルS1では、界面抵抗が比較的低い結果となり(100Ω/cm<sup>2</sup>以下)、表出粒子平均サイズASが4.5μm以下のサンプルS1では、界面抵抗が特に低い結果となった(50Ω/cm<sup>2</sup>以下)。このことから、LLZ−MgSr焼結体により構成された電解質層112と、硫化物系固体電解質を含む電極114,116との界面抵抗は、粒子が表出しており、表出粒子平均サイズASが10μm以下であり、かつ、炭酸リチウム層222の厚さLTが100nm以下であると低くなり、表出粒子平均サイズASが4.5μm以下であるとさらに低くなると言える。
[0050]A−4−3.第2の性能評価結果:第2の性能評価として、電解質層112(上述したLLZ−MgSr焼結体と炭酸リチウム層222とで構成される構造体)と、電極114,116と、集電部材154,156とを接合して全固体電池102の第2の評価用サンプルS2を作製し、界面抵抗および短絡特性についての評価を行った。第2の評価用サンプルS2では、電極114,116として、Li金属箔を用いた。
(第2の評価用サンプルS2の作製)すべての作業は、アルゴン雰囲気のグローブボックス中で実施した。電極材料として、Li金属箔(厚さ0.1mm、本城金属製)を使用した。Li金属箔をポンチで打ち抜き、直径10mmで厚さが0.1mmのLi金属箔を2枚作製した。得られたLi金属箔と、上述した電解質層112(LLZ−MgSr焼結体と炭酸リチウム層222とで構成される構造体)とを、SUS集電体/Li金属箔/電解質層112/Li金属箔/SUS集電体の順に積層した。この積層体を積層方向に約1MPaの荷重をかけて固定し、170℃で2時間、加熱処理を行った。その後、室温まで冷却し、第2の評価用サンプルS2を得た。
(界面抵抗についての評価)各第2の評価用サンプルS2について、交流インピーダンス法により界面抵抗を測定した。図11は、第2の評価用サンプルS2を対象とした界面抵抗についての評価結果を示す説明図である。図11には、表出粒子平均サイズAS(ただし、研磨体については表面に粒子が表出していない)の各範囲(4.5μm以下、4.5μmより大きく10μm以下、10μmより大きく200μm以下)と、炭酸リチウム層222の厚さLTの各範囲(20nm以下、20nmより大きく100nm以下、100nmより大きく200nm以下、200nmより大きく400nm以下)との組合せにより特定される各第2の評価用サンプルS2について、界面抵抗値に基づく評価結果(界面抵抗が低い順にA〜Dのランクを付した評価結果)が記載されている。
[0051]図11に示すように、表出粒子平均サイズASが10μm以下であり、かつ、炭酸リチウム層222の厚さLTが100nm以下のサンプルS2では、界面抵抗が比較的低い結果となり(25Ω/cm<sup>2</sup>以下)、表出粒子平均サイズASが4.5μm以下のサンプルS2では、界面抵抗が特に低い結果となった(10Ω/cm<sup>2</sup>以下)。このことから、LLZ−MgSr焼結体により構成された電解質層112と、Li金属箔により構成された電極114,116との界面抵抗は、粒子が表出しており、表出粒子平均サイズASが10μm以下であり、かつ、炭酸リチウム層222の厚さLTが100nm以下であると低くなり、表出粒子平均サイズASが4.5μm以下であるとさらに低くなると言える。
(短絡特性についての評価)各第2の評価用サンプルS2について、直流電圧を500秒間印加し続け、電極間の短絡の有無を調べる直流印加試験を実施した。このとき、25℃の条件で電解質層112と電極114,116との接合界面の面積に対する電流密度を徐々に上げ(0.01、0.02、0.04、0.06、0.08、0.1、・・・、2mA/cm<sup>2</sup>まで適宜選択)、評価を実施した。図12は、第2の評価用サンプルS2を対象とした短絡特性についての評価結果を示す説明図である。図12には、図11と同様の各第2の評価用サンプルS2について、各電流密度における短絡の有無に基づく評価結果(短絡が起こりにくい順にA〜Dのランクを付した評価結果)が記載されている。
[0052]図12に示すように、表出粒子平均サイズASが10μm以下であり、かつ、炭酸リチウム層222の厚さLTが100nm以下のサンプルS2では、比較的高い電流密度でも短絡が発生しない結果となり(0.5A/cm<sup>2</sup>以上、1mA/cm<sup>2</sup>未満まで短絡無し)、表出粒子平均サイズASが4.5μm以下のサンプルS2では、さらに高い電流密度でも短絡が発生しない結果となった(1mA/cm<sup>2</sup>以上、1.5mA/cm<sup>2</sup>まで短絡無し)。このことから、LLZ−MgSr焼結体により構成された電解質層112と、Li金属箔により構成された電極114,116とを備える全固体電池102の短絡発生の可能性は、粒子が表出しており、表出粒子平均サイズASが10μm以下であり、かつ、炭酸リチウム層222の厚さLTが100nm以下であると低くなり、表出粒子平均サイズASが4.5μm以下であるとさらに低くなると言える。
[0053]A−4−4.第3の性能評価結果:第3の性能評価として、電解質層112(上述したLLZ−MgSr焼結体と炭酸リチウム層222とで構成される構造体)と、電極114,116と、集電部材154,156とを接合して全固体電池102の第3の評価用サンプルS3(S3a〜S3f)を作製し、界面抵抗についての評価を行った。図13は、第3の性能評価の概要と評価結果を示す説明図である。
(第3の評価用サンプルS3の作製)・第3の評価用サンプルS3aすべての作業は、アルゴン雰囲気のグローブボックス中で実施した。正極活物質214としてのLi<sub>4</sub>Ti<sub>5</sub>O<sub>12</sub>と、硫化物系固体電解質であるLi<sub>2</sub>S・P<sub>2</sub>S<sub>5</sub>ガラス(モル比80:20)と、電子伝導助剤としてのケッチェンブラックとを、3:7:1の重量比で混合し、圧粉体とすることで、正極114を形成するための正極合材を得た。また、負極活物質216としてのLiAl合金(モル比1:1)と、硫化物系固体電解質であるLi<sub>2</sub>S・P<sub>2</sub>S<sub>5</sub>ガラス(モル比80:20)とを、1:1の重量比で複合し、圧粉体とすることで、負極116を形成するための負極合材を得た。得られた正極合材および負極合材と、上述した電解質層112(ただし、表出粒子平均サイズASが4.5μmであり、炭酸リチウム層222の厚さLTが20nm以下のもの)とを、SUS集電体/正極合材/電解質層112/負極合材/SUS集電体の順番に積層した。この積層体を積層方向に約50MPaの荷重をかけて固定し、190℃〜220℃で3時間、加熱処理を行った。その後、室温まで冷却し、第3の評価用サンプルS3aを得た。
[0054]・第3の評価用サンプルS3b上述した第3の評価用サンプルS3aの作製方法において、電解質層112として用いる焼結体を、大気中研磨したLLZ−MgSr焼結体(すなわち、表面に202の粒子が表出していないもの)に置き換えた方法により、第3の評価用サンプルS3bを作製した。
[0055]・第3の評価用サンプルS3c上述した第3の評価用サンプルS3aの作製方法において、正極114を形成するための正極合材を、正極活物質214としてのLi<sub>4</sub>Ti<sub>5</sub>O<sub>12</sub>と電子伝導助剤としてのケッチェンブラックとを7:1の重量比で混合して圧粉体としたものに置き換え、負極116を形成するための負極合材を、負極活物質216としてのLiAl合金(モル比1:1)の圧粉体に置き換えた方法により、第3の評価用サンプルS3cを作製した。すなわち、第3の評価用サンプルS3cは、電極114,116に硫化物系固体電解質が含まれないものである。
[0056]・第3の評価用サンプルS3d上述した第3の評価用サンプルS3cの作製方法において、電解質層112として用いる焼結体を、大気中研磨したLLZ−MgSr焼結体(すなわち、表面に202の粒子が表出していないもの)に置き換えた方法により、第3の評価用サンプルS3dを作製した。
[0057]・第3の評価用サンプルS3e上述した第3の評価用サンプルS3aの作製方法において、電解質層112として用いる焼結体を、LLZ−MgSr焼結体からLLZ焼結体に置き換えた方法により、第3の評価用サンプルS3eを作製した。第3の評価用サンプルS3eに用いられるLLZ焼結体の作製方法は、以下の通りである。
[0058]原料粉末である、Li<sub>2</sub>CO<sub>3</sub>、La(OH)<sub>3</sub>、ZrO<sub>2</sub>を、Li、La、及びZrの各成分の比率が、Li:La:Zr=7:3:2(モル比)になるように秤量し、さらにLiは焼成中に揮発し易いので、秤量したLi<sub>2</sub>CO<sub>3</sub>に対して、リチウム揮発分を考慮して10質量%多く添加した。この原料粉末をジルコニアボールとともにアルミナポットに投入し、エタノール中で15時間にわたってボールミルで粉砕混合し、さらに乾燥して配合材料を得た。得られた配合材料を、アルミナ坩堝中で、1100℃で10時間にわたって仮焼成を行い、仮焼成材料を得た。この仮焼成材料にバインダーを加えて、有機溶媒中で15時間にわたってボールミルで粉砕混合して、さらに乾燥して未焼成材料を得た。この未焼成材料を直径10mmの金型に投入し、プレス成形した後に、冷間静水等方圧プレス機(CIP)を用いて1.5t/cm<sup>2</sup>の静水圧を印加し、成形体を得た。この成形体を成形体と同じ組成の仮焼粉末で覆い、大気雰囲気において1200℃で4時間焼成することで、直径10mm、厚さ1mmのリチウムイオン伝導性のLLZ焼結体を得た。このLLZ焼結体の表面に表出する粒子の平均サイズ(表出粒子平均サイズAS)は約10μmであった。なお、このLLZ焼結体は、固体電解質202の粒子により構成された固体電解質基板203に相当する。また、LLZ焼結体(固体電解質基板203)の表面に、固体電解質202に含まれるリチウムと大気中の二酸化炭素とが反応することによって炭酸リチウム層222が生成される。LLZ焼結体(固体電解質基板203)と炭酸リチウム層222とで構成される構造体は、電解質層112に相当する(図2参照)。また、このLLZ焼結体を粉砕して得られた粉末をX線回折装置(XRD)で分析することによりX線回折パターンを得、得られたX線回折パターンとICDDカードとを対比した結果、このLLZ焼結体はLLZ立方晶のICDDカードとほぼ一致することが確認された。したがって、このLLZ焼結体は、ガーネット型結晶構造又はガーネット型類似の結晶構造を有すると判断できる。
[0059]LLZ焼結体の作製の後、濃度0.1Mの硝酸による洗浄を実施した。洗浄後のLLZ焼結体を電解質層112として用いて、第3の評価用サンプルS3eを作製した。
[0060]・第3の評価用サンプルS3f上述した第3の評価用サンプルS3eの作製方法において、電解質層112として用いる焼結体を、大気中研磨したLLZ焼結体(すなわち、表面に202の粒子が表出していないもの)に置き換えた方法により、第3の評価用サンプルS3fを作製した。
(評価結果)各第3の評価用サンプルS3について、交流インピーダンス法により界面抵抗を測定した。図13に示すように、サンプルS3aとサンプルS3bとを比較すると、大気中で研磨したLLZ−MgSr焼結体、すなわち、焼結体の表面に固体電解質202の粒子が表出しておらず、かつ、炭酸リチウム層222の厚さLTが約100nmを超える焼結体により構成される電解質層112を用いたサンプルS3bでは、界面抵抗が1162Ω/cm<sup>2</sup>であったのに対し、表出粒子平均サイズASが4.5μmと小さく、かつ、炭酸リチウム層222の厚さLTが20nm以下と薄いLLZ−MgSr焼結体により構成される電解質層112を用いたサンプルS3aでは、界面抵抗が22Ω/cm<sup>2</sup>と非常に低い値となった。同様に、サンプルS3eとサンプルS3fとを比較すると、LLZ−MgSr焼結体ではなくLLZ焼結体を用いた場合であっても、大気中で研磨したLLZ焼結体により構成される電解質層112を用いたサンプルS3fでは、界面抵抗が1402Ω/cm<sup>2</sup>であったのに対し、表出粒子平均サイズASが4.5μmと小さく、かつ、炭酸リチウム層222の厚さLTが20nm以下と薄いLLZ焼結体により構成される電解質層112を用いたサンプルS3eでは、界面抵抗が52Ω/cm<sup>2</sup>と非常に低い値となった。なお、サンプルS3a,3bとサンプルS3e,3fとを比較すると、LLZに対してMgおよびSrの元素置換を行うと、界面抵抗がより低くなるため好ましいと言える。
[0061]また、サンプルS3cとサンプルS3dとを比較すると、大気中で研磨したLLZ−MgSr焼結体により構成される電解質層112を用いたサンプルS3dでは、界面抵抗が100万Ω/cm<sup>2</sup>以上であったのに対し、表出粒子平均サイズASが4.5μmと小さく、かつ、炭酸リチウム層222の厚さLTが20nm以下と薄いLLZ−MgSr焼結体により構成される電解質層112を用いたサンプルS3cでは、界面抵抗が約25万Ω/cm<sup>2</sup>となり、サンプルS3dよりは低い値となった。ただし、電極114,116に硫化物系電解質が含まれるサンプルS3a,S3eと比較すると、サンプルS3cでは依然として界面抵抗が高い。このことから、本実施形態の電解質層112は、硫化物系電解質が含まれる電極114,116と接合されて使用されると、より大きな界面抵抗低減効果を発揮すると言える。
[0062]これらの結果から、焼結体の組成や、電極に含まれる物質により、界面抵抗は左右されるものの、依然として、電解質層112の表面に粒子が表出しており、表出粒子平均サイズASが10μm以下と小さく、炭酸リチウム層222の厚さLTが100nmと薄く形成された固体電解質構造体を用いたサンプルは界面抵抗を低減できることがわかる。
[0063]A−5.表出粒子平均サイズASの算出方法:図14は、固体電解質基板203の表面に表出する固体電解質202の粒子のサイズPSの平均値(表出粒子平均サイズAS)の算出方法を示す説明図である。図14には、固体電解質基板203の表面付近の断面のSEM像が模式的に示されている。図14に示すように、固体電解質基板203の表面に表出する固体電解質202の各粒子のサイズPSは、該粒子の一方側に隣接する他の粒子との境界点(ネック点)NPと、該粒子の他方側に隣接する他の粒子との境界点NPとの間の直線距離である。
[0064]また、表出粒子平均サイズASを算出する際には、試料を破断し、イオンビームで断面出しをした断面のFE−SEM観察により評価する。具体的には、無作為に固体電解質基板203の断面SEM像を取得し、固体電解質基板203の表面に表出する固体電解質202の各粒子のサイズPSを計測し、30個以上の粒子についてのサイズPSの計測値の平均値を、表出粒子平均サイズASとして算出する。例えば、上述した表出粒子平均サイズASが4.5μmと算出された試料では、倍率1000倍の視野で約20個の粒子のサイズPSが計測できたため、取得位置の互いに異なる2枚の倍率1000倍視野の写真を取得し、2枚の写真上で計測した各粒子のサイズPSの平均値を、表出粒子平均サイズASとして算出した。
[0065]また、固体電解質基板203(電解質層112)の表面のSEM画像が取得できる場合には、この表面の画像を用いて表出粒子平均サイズASを算出してもよい。具体的には、得られた表面のSEM画像(例えば倍率1000倍)上に等間隔で3本の直線を引き、各直線上の各粒子の長さを粒子のサイズPSとして計測し、計測した粒子のサイズPSの合計値を計測対象の粒子の個数で除した値を、表出粒子平均サイズASとすることができる。
[0066]B.変形例:本明細書で開示される技術は、上記実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の形態に変形することができ、例えば次のような変形も可能である。
[0067]上記実施形態における全固体電池102の構成は、あくまで一例であり、種々変更可能である。例えば、上記実施形態の全固体電池102において、電解質層112と正極114との間と、電解質層112と負極116との間との少なくとも一方に、電極114,116内の電極活物質と電解質層112中の固体電解質202とが直接接触することを抑制するための保護層が設けられるとしてもよい。
[0068]また、上記実施形態における各部材を形成する材料は、あくまで例示であり、各部材が他の材料により形成されてもよい。例えば、上記実施形態では、電解質層112に含まれる固体電解質202として、酸化物系固体電解質であるLLZやLLZ−MgSrが用いられるとしているが、LLZに対して、置換可能な元素(例えば、Sn(スズ)、Y(イットリウム)、Ga(ガリウム)、Al(アルミニウム)、Ta(タンタル)、Nb(ニオブ)、Ir(イリジウム)、Bi(ビスマス)等の元素)で元素置換を行ったものでもよい。また、固体電解質202として他の酸化物系固体電解質(例えば、LAGPやLZP)や、酸化物系固体電解質以外の電解質が用いられるとしてもよい。
[0069]また、上記実施形態では、固体電解質202の粒子を焼成することで得られた焼結体を電解質層112としたが、これに限られるものではない。例えば、固体電解質202の粉末を高圧力で押し固めた圧粉体を電解質層112としたり、固体電解質202の粒子を電子絶縁性の接着剤(例えば、樹脂接着剤)を用いて固定した電解質層112としたりしてもよい。また、予め作製された板状の固体電解質を入手し、該板状の固体電解質に洗浄工程を施すことにより電解質層112(固体電解質構造体)を製造するとしてもよい。
[0070]また、上記実施形態では、本願発明の固体電解質基板と炭酸リチウム層とを備える固体電解質構造体を、全固体電池102の電解質層112として使用した形態を説明したが、本願発明の固体電解質構造体は、他の用途にも適用可能である。例えば、本願発明の固体電解質構造体は、全固体リチウムイオン二次電池の保護層にも適用可能である。また、本願発明の固体電解質構造体は、固体の電解質を用いる他の一次または二次電池(例えば、リチウム空気電池やリチウムフロー電池等)にも適用可能である。
[0071]102:全固体リチウムイオン二次電池 110:電池本体 112:電解質層 114:正極 116:負極 154:集電部材 156:集電部材 202:固体電解質 203:固体電解質基板 204:固体電解質 206:固体電解質 214:正極活物質 216:負極活物質 222:炭酸リチウム層
特許請求の範囲
[0001]1.リチウムイオン伝導性の固体電解質を含む固体電解質基板と、前記固体電解質基板の表面に形成された炭酸リチウム層と、を備える固体電解質構造体において、前記固体電解質基板の表面に表出する前記固体電解質の粒子のサイズは10μm以下であり、前記炭酸リチウム層の厚さは100nm以下であることを特徴とする、固体電解質構造体。
[0002]2.請求項1に記載の固体電解質構造体において、前記固体電解質は、少なくともLiとLaとZrとOとを含有するガーネット型結晶構造またはガーネット型類似結晶構造を有することを特徴とする、固体電解質構造体。
[0003]3.請求項2に記載の固体電解質構造体において、前記固体電解質は、MgとA(Aは、Ca、Sr、Baから構成される群より選択される少なくとも1つの元素)との少なくとも一方を含有することを特徴とする、固体電解質構造体。
[0004]4.正極と、負極と、前記正極と前記負極との間に配置される固体電解質層と、を備えるリチウム電池において、前記固体電解質層は、請求項1から請求項3までのいずれか一項に記載の固体電解質構造体であることを特徴とする、リチウム電池。
[0005]5.請求項4に記載のリチウム電池において、前記負極は、電極活物質であるLi金属とLi合金との少なくとも一方を含有することを特徴とする、リチウム電池。
[0006]6.請求項4に記載のリチウム電池において、前記正極と前記負極との少なくとも一方は、電極活物質と、硫化物系固体電解質と、を含有することを特徴とする、リチウム電池。
[0007]7.リチウムイオン伝導性の固体電解質を含む固体電解質基板と、前記固体電解質基板の表面に形成された炭酸リチウム層と、を備え、前記固体電解質基板の表面に表出する前記固体電解質の粒子のサイズは10μm以下である固体電解質構造体の製造方法において、固体電解質構造体を準備する工程と、前記固体電解質構造体を、pHが1以上、14以下の洗浄液中に浸漬する洗浄工程と、を備えることを特徴とする、製造方法。
[0008]8.請求項7に記載の製造方法において、前記洗浄液のpHは、7以上、13以下であることを特徴とする、製造方法。
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